外来種の脅威:在来の植物を守るために

こんにちは、植物イラストレーターの杉原エミリです。今日は、外来植物が在来の植物に与える影響について、皆さんにお話ししたいと思います。

近年、世界中で外来種による生態系の破壊が大きな問題となっています。日本でも、意図的に導入された植物や、人為的な活動によって持ち込まれた植物が、在来の植物を脅かしているのが現状です。

私は、これまで国内各地で植物の観察や調査を行ってきましたが、外来植物の侵入による在来種の減少を目の当たりにしてきました。かつては一面に広がっていた在来の花々が、外来植物の繁茂によって姿を消してしまった場所も少なくありません。

特に、子どもたちには、身近な自然の中にある在来の植物の大切さを知ってほしいと思っています。一つ一つの植物種が持つ生態的な役割や、在来種と外来種のバランスの重要性について、興味を持ってもらえたらと願っています。

この記事では、外来植物がもたらす影響と、それに対する私たちにできる取り組みについて、詳しくお伝えしていきます。在来の植物を守るために、今私たちができることは何か。一緒に考えていきましょう。

外来種とは何か

外来種の定義と分類

外来種とは、もともとその地域に分布していなかったのに、人為的な要因によって他の地域から導入された生物のことを指します。植物に限らず、動物や菌類なども外来種に含まれます1

外来種は、意図的に導入されたものと、非意図的に導入されたものの2つに大別されます。意図的に導入される場合は、観賞用植物、緑化植物、農作物など、何らかの目的を持って人の手によって運び込まれます。一方、非意図的な導入は、輸入貨物に紛れ込んだり、船舶のバラスト水に混入したりすることで、自然と人の活動に付随して持ち込まれる場合を指します1

また、外来種の中でも、導入先の生態系に悪影響を及ぼし、在来種の存続を脅かすものは、特に「侵略的外来種」と呼ばれています。侵略的外来種は、在来種との競合に強く、急速に分布を拡大させる傾向にあります2

こうした外来種の分類や定義を理解することは、外来種問題へのアプローチを考える上で重要な基礎となります。

外来植物が持ち込まれる経緯

外来植物の多くは、私たち人間の活動に伴って持ち込まれてきました。その経緯を理解することは、外来種問題を考える上で欠かせません。主な導入経路としては、以下のようなものが挙げられます3

  1. 園芸や緑化目的での導入 観賞用の花や庭木、公園や道路の緑化に用いる植物が、園芸品種として海外から輸入されるケースが多くあります。これらの中には、野外に逃げ出して野生化するものも少なくありません。
  2. 農作物や牧草としての導入 食用作物や家畜の飼料となる牧草が、품種改良のために海外から導入されることがあります。こうした農作物や牧草が、野外で野生化して在来種に影響を与えることがあります。
  3. 偶発的な混入や付着による非意図的な導入 輸入穀物や土壌、あるいは人の衣服や靴などに、外来植物の種子が紛れ込んでいることがあります。こうした非意図的な導入は、気づかないうちに外来植物を広めてしまう恐れがあります。
  4. レジャーや宗教活動に伴う導入 ハイキングやキャンプなどのアウトドアレジャーの際に、知らず知らずのうちに外来植物の種子を運んでしまうことがあります。また、宗教的な目的で植物を他地域に持ち込む場合もあります。

このように、外来植物の導入経路は多岐にわたります。意図的であれ非意図的であれ、一度持ち込まれた外来植物が定着してしまうと、その影響は長期にわたって続くことになります。

だからこそ、外来植物の導入に際しては、十分な注意と配慮が必要なのです。私たちの何気ない行動が、知らないうちに在来の植物を脅かしているかもしれません。一人一人が外来種問題を自分ごととして捉え、責任ある行動をとることが大切だと、私は考えています。

外来植物がもたらす影響

在来種との競合と生態系の攪乱

外来植物は、在来種との競合を通じて、その地域の生態系に大きな影響を及ぼします。

外来植物の中には、在来種と同じような生態的地位を占めようとするものがあります。同じ環境条件を好む在来種と外来種が共存すると、限られた資源(光、水、栄養分など)をめぐる競争が起こります。その際、外来種が在来種よりも競争に強いと、在来種は次第に駆逐されていってしまうのです4

また、外来植物の繁茂によって、在来の植物群落の構造が変化してしまうこともあります。例えば、ツルタデという外来植物は、河川敷を覆い尽くすように繁茂し、在来の植物を被陰して衰退させてしまいます5。こうした植生の単純化は、その植物に依存する昆虫や鳥類など、他の生物への連鎖的な影響も引き起こします。

私が以前、調査で訪れた河川敷では、ツルタデの一面の群落が広がっていました。かつてはそこに自生していたというカワラノギクやカワラニガナの姿は、もはやどこにも見当たりません。ツルタデという外来の植物が、わずか数十年で在来の植物群落を駆逐してしまったのです。

生態系のバランスは、非常にデリケートなもの。ひとたび外来種が持ち込まれると、その影響は予想以上に広範で深刻なものとなります。外来植物の脅威は、目に見える植生の変化だけでなく、目に見えない生態系のつながりをも脅かしているのだと、私は実感しています。

遺伝的多様性への脅威

外来植物は、在来種との交雑を通じて、その地域の遺伝的多様性を脅かすこともあります。

在来種と外来種が近縁な関係にある場合、両者の間で交雑が起こることがあります。交雑によって生まれた雑種は、在来種とは異なる形質を持つことがあり、在来種の遺伝子プールを攪乱してしまう恐れがあるのです6

例えば、日本各地で在来のタンポポが、外来のセイヨウタンポポとの交雑によって、”和洋折衷”のタンポポに置き換わりつつあることが報告されています7。在来タンポポの持つ固有の遺伝的形質が失われることで、地域に適応した生態的特性が損なわれる可能性が指摘されているのです。

遺伝的多様性は、その地域の環境に植物が適応するための重要な基盤となります。地域ごとに異なる気候風土に適応するために、植物は長い進化の過程で、実に多様な遺伝的形質を獲得してきました。しかし、外来種との交雑は、こうした地域固有の遺伝的多様性を一気に奪ってしまう恐れがあります。

ある意味、外来種との交雑は、長い時間をかけて築かれてきた在来種の進化の歴史を破壊しかねない、深刻な脅威だと言えるでしょう。タンポポの例を見ても明らかなように、ひとたび交雑が始まると、在来種の遺伝子プールを取り戻すことは非常に困難になります。

外来種問題を考える際には、目に見える生態系への影響だけでなく、遺伝的な側面にも目を向ける必要があります。私たちは今、地域の遺伝的な多様性を守るという視点からも、外来植物の脅威に向き合わなくてはならないのです。

農業や人間生活への悪影響

外来植物は、農業生産や人間の生活にも、さまざまな悪影響を及ぼします。

農業の現場では、外来植物が作物の競合雑草となって、収量の低下を引き起こすことがあります。特に強い繁殖力を持つ外来雑草は、一度圃場に侵入すると駆除が難しく、農家にとって大きな脅威となります8

また、外来植物の中には、人体に有害な物質を含むものもあります。例えば、北アメリカ原産のボタンボウフウは、強い皮膚刺激性を持つ植物として知られています。河川敷などで大繁茂すると、子どもが誤って触れてしまう危険性もあるのです9

外来植物の繁茂は、景観の悪化や、レクリエーションの場の喪失といった、生活の質の低下にもつながります。アレチウリやオオブタクサなどの大型の外来植物が、公園や河川敷を占拠してしまうと、そこで子どもたちが遊べなくなってしまいます。

先日、私の住む軽井沢町でも、オオハンゴンソウという北アメリカ原産の外来植物が、空き地や路傍で目立つようになりました。その勢いの速さに、地域の方々も頭を悩ませています。オオハンゴンソウは、在来植物との競合に強く、駆除にも手間がかかる厄介な植物。放っておくと、在来の植生が失われるだけでなく、景観や生活環境にも悪影響が出るのではと心配です。

外来植物の影響は、生態系の問題にとどまりません。農業生産や人々の健康、生活の質の低下など、社会経済的な損失も無視できないのです。今こそ、私たち一人一人が、身の回りの外来植物の脅威に目を向ける必要があります。そして、それぞれの立場で、できることから行動を起こしていくことが肝要だと、私は考えています。

日本における外来植物の現状

代表的な外来植物とその分布

日本には、約1500種の外来植物が存在すると言われています1。その中でも特に広く分布し、各地で問題となっている代表的な外来植物には、以下のようなものがあります。

  • オオキンケイギク(キク科):北アメリカ原産。河川敷や道路沿いで大繁茂。
  • アレチウリ(ウリ科):北アメリカ原産。河川敷や農地に侵入し、在来植生を被陰。
  • オオブタクサ(キク科):中南米原産。河川敷や荒地に広がり、大群落を形成。
  • オオハンゴンソウ(キク科):北アメリカ原産。草地や路傍を占拠し、駆除が困難。
  • セイタカアワダチソウ(キク科):北アメリカ原産。湿地や草地に広がる。花粉症の原因にも。
  • ナガミヒナゲシ(ケシ科):ヨーロッパ原産。河川敷や農地に侵入し、駆除が難しい。
  • アメリカセンダングサ(キク科):北アメリカ原産。路傍や農地で猛威をふるう。

こうした外来植物の多くは、北アメリカ大陸原産であることが特徴です。かつての大規模な開発の際に、牧草や緑化植物として意図的に導入されたものが多いと考えられています。また、これらの外来植物は、河川敷や道路沿い、農地といった人為的な撹乱を受けやすい立地を中心に分布を広げる傾向があります2

私の地元である長野県でも、こうした外来植物の侵入が各地で問題となっています。千曲川の河川敷では、アレチウリやオオブタクサが広大な群落を形成し、在来の植生を圧迫しています。また、軽井沢町の草地では、オオハンゴンソウが急速に分布を拡大し、景観の悪化が懸念されています。

外来植物の分布拡大は、人間活動の影響と密接に関係しています。農地の耕作放棄や、河川の改修工事など、私たち人間の営みが、外来植物にとっての格好の侵入の機会を提供してしまっているのです。だからこそ、外来植物対策を考える際には、生態系の保全だけでなく、土地利用のあり方についても、併せて議論していく必要があるのだと思います。

特に深刻な被害をもたらす種

外来植物の中でも、特に深刻な被害をもたらす種があります。それらは「侵略的外来種」と呼ばれ、在来の生態系に重大な影響を及ぼします。環境省によって「生態系被害防止外来種リスト」に指定されている植物の中には、以下のようなものがあります3

  • ボタンウキクサ(サトイモ科):南米原産の水生植物。湖沼や河川で爆発的に繁茂し、水質悪化や在来水生植物の駆逐を引き起こす。
  • アレチウリ(ウリ科):つる性の一年草。河川敷や農地で大群落を形成し、在来植生を被陰して枯死させる。
  • ナガエツルノゲイトウ(ツルノゲイトウ科):中南米原産のつる性多年草。河畔林に侵入し、樹木を被陰して枯死させる。
  • オオキンケイギク(キク科):北アメリカ原産の多年草。河川敷や道路沿いで大群落を形成し、在来植生を駆逐する。
  • オオハンゴンソウ(キク科):北アメリカ原産の多年草。草地や路傍を占拠し、駆除が困難。
  • アレチハナガサ(セリ科):ヨーロッパ原産の多年草。湿地や水辺で繁茂し、在来植生を駆逐する。

これらの侵略的外来植物は、強い繁殖力と環境適応力を持っています。一度侵入すると、あっという間に分布を拡大し、在来の植生を圧倒してしまうのです。例えば、ボタンウキクサは、わずか数年で琵琶湖の広い範囲を覆い尽くし、漁業被害や景観の悪化を引き起こしました4

また、侵略的外来植物の中には、同属の在来種と交雑してしまうものもあります。オオハンゴンソウは、在来のハンゴンソウとの交雑が確認されており、遺伝的攪乱が懸念されています。ナガエツルノゲイトウも、在来のツルノゲイトウとの交雑が報告されています5

こうした侵略的外来種は、いったん定着してしまうと、その駆除には膨大な労力とコストがかかります。しかし、手をこまねいているわけにはいきません。侵略的外来種の脅威から、かけがえのない日本の自然を守るために、私たち一人一人ができることを考えていかなくてはならないのです。

外来植物対策の取り組みと課題

外来植物の脅威に対して、各地で様々な対策が行われています。その主な取り組みには、以下のようなものがあります6

  1. 早期発見・早期防除:外来植物の侵入初期段階での発見と速やかな駆除を行う。
  2. 分布拡大の抑制:外来植物の分布域を把握し、拡散防止のための措置を講じる。
  3. 計画的な防除事業:地域ぐるみで外来植物の計画的な駆除や抜き取りを実施する。
  4. 代替植物の利用:緑化や修景に外来植物の代わりとなる在来植物を用いる。
  5. 普及啓発活動:外来植物の脅威や対策の重要性について、広く市民に伝える。

特に、地域の市民団体やNPOが中心となって、ボランティアによる外来植物の駆除活動を行っている例が各地で見られます。長野県では、千曲川での市民参加型のアレチウリ駆除イベントが毎年行われ、一定の成果を上げています7。軽井沢町でも、地元の自然保護団体が中心となって、オオハンゴンソウの抜き取り作業を継続的に実施しています。

ただし、外来植物対策には多くの課題も残されています。まず、いったん定着した外来植物を完全に駆除することは非常に困難です。特に広範囲に分布した外来植物の防除には、膨大な労力とコストがかかります。また、外来植物の駆除に農薬を使用することは、他の生物への影響が懸念されるため、できる限り避けたいところです。

加えて、外来植物対策には、市民の理解と協力が不可欠です。しかし、外来植物の問題について十分な認識を持つ人は多くありません。駆除活動への参加者を募ることも容易ではありません。外来植物の脅威について、どう多くの人に伝えていくか。それが、外来植物対策の大きな課題の一つだと、私は感じています。

外来植物問題は、私たち人間の暮らし方そのものを問い直す課題でもあります。グローバル化する現代社会の中で、人と物の移動はますます活発化しています。それに伴って、外来植物の侵入リスクも高まっているのです。私たち一人一人が、自然との共生の道を模索していくことが、今ほど求められている時代はないのかもしれません。

外来植物対策と在来種保護の重要性

早期発見と迅速な対応の必要性

外来植物による被害を最小限に抑えるためには、早期発見と迅速な対応が何より重要です。外来植物が侵入した初期段階であれば、比較的少ない労力で駆除できる可能性が高いからです8

実際、外来植物の中には、定着初期は個体数が少なく、分布域も限られているものが少なくありません。しかし、気づかないうちに分布を広げ、いったん大繁茂するようになると、途端に駆除が難しくなってしまうのです。

ですから、日頃から地域の植生の変化に目を配り、見慣れない植物を見つけたら、すぐに専門家に相談するといった心がけが大切になります。私も、ハイキングや植物観察の際には、在来種だけでなく、外来植物の姿にも注意を払うようにしています。

外来植物の早期発見には、多くの人の目が不可欠です。市民参加型の外来植物モニタリング活動などを通じて、地域ぐるみで外来植物の監視の目を増やしていくことが求められています。

外来植物を発見したら、迅速な対応が肝心です。小規模な発生であれば、手作業での抜き取りで対応できることも多いでしょう。一方、大規模な繁茂が見られる場合は、専門家による計画的な防除が必要になります。外来植物の特性に応じた、適切な駆除手法の選択が重要になるのです。

いずれにしても、スピード感を持って対応することが肝要。外来植物問題に対する危機意識を共有し、地域が一丸となって取り組むことが何より大切だと、私は考えています。

予防原則に基づく水際対策の強化

外来植物対策を進める上では、予防原則に基づいた水際対策の強化も欠かせません。外来植物の侵入を未然に防ぐことが、最も効果的な対策だからです9

具体的には、輸入植物の検疫体制の強化や、外来種リストの整備などが求められます。特に、園芸用や緑化用の外来植物の輸入に際しては、十分な審査と規制が必要不可欠。「この植物なら大丈夫だろう」といった安易な判断は禁物です。

また、外来植物の非意図的な導入を防ぐための取り組みも重要です。例えば、輸入穀物や土壌、バラスト水などに紛れ込む外来植物の種子。こうした非意図的な侵入ルートにも目を配る必要があります。

加えて、ペットとして飼育されている外来植物が、遺棄されて野生化するケースも後を絶ちません。ペットの適正飼育についての普及啓発も、外来植物対策の一環として求められるでしょう。

私たち一人一人も、外来植物の侵入を防ぐために、できることがあります。例えば、海外旅行の際には、現地の植物を持ち帰らないこと。靴の裏に付いた泥や種子を、きちんと洗い落とすこと。アウトドアで使用した器具や車両を、こまめに清掃すること。こうした小さな心がけの積み重ねが、外来植物の侵入リスクを減らすことにつながるのです。

防除の努力も大切ですが、何より外来植物を「入れない」ことが肝心。そのためには、社会全体で予防原則に基づく水際対策の重要性を認識し、それぞれの立場で行動することが何より重要だと、私は考えています。

市民参加型の防除活動と環境教育

外来植物対策を持続的に進めていくためには、市民参加型の防除活動と環境教育が欠かせません。外来植物問題は、特定の専門家だけでは解決できない、社会全体の課題だからです。

各地の自治体やNPO、市民団体が中心となって、外来植物の駆除イベントや観察会などを開催することは、とても意義深いことだと思います。こうした活動に参加することで、多くの市民が外来植物問題を自分ごととして捉えるようになります。また、実際に汗を流して外来植物を駆除する経験は、自然保護の大切さを実感する貴重な機会にもなるでしょう。

ただ、こうした活動を一過性のイベントで終わらせてはいけません。外来植物の防除は、継続的な取り組みであることを忘れてはなりません。駆除した場所でも、数年後には外来植物が再繁茂していた、といったケースは珍しくないのです。

だからこそ、外来植物対策には、息の長い市民参加が求められます。行政と市民、専門家と地域住民が連携し、定期的なモニタリングと防除活動を続けていく仕組みが必要不可欠。また、活動の成果や課題を共有し、次の取り組みにつなげていくことも大切です。

加えて、子どもの頃から外来植物問題について学ぶ機会を設けることも、とても重要だと感じています。小中学校での環境学習の中に、外来植物をテーマとした授業を取り入れることなどは、有効な一歩になるのではないでしょうか。地域の自然に触れ、在来種の大切さを学ぶ中で、外来植物問題を自分たちの課題として捉える目を養う。そうした環境教育は、将来の自然保護を担う世代を育むことにつながるはずです。

私自身、小学生向けの植物観察会などでは、在来種と外来種の違いについてもお話ししています。子どもたちの中には、外来種のオオブタクサの大群落を見て、「すごい!」と驚く子も多いのです。でも、その場が本来どんな植物で覆われていたのか、想像してみるように伝えると、少しずつ見方が変わってくる。在来の植物を大切に思う心を、子どもたちの中に育んでいきたいですね。

外来植物の防除は、特効薬のない息の長い取り組みです。だからこそ、継続は力なり。一人でも多くの人に関心を持ってもらい、できることから参加してもらう。それを積み重ねていくことが何より大切だと、私は信じています。

まとめ

外来植物が引き起こす生態系の攪乱は、日本の自然が直面する大きな脅威の一つです。意図的・非意図的に持ち込まれた外来植物が、各地の在来植生を脅かし、生物多様性を損なっているのが実情です。

農業被害や人の健康被害など、外来植物がもたらす影響は生態系の問題にとどまりません。外来植物の脅威は、私たちの暮らしと社会経済にも広く関わる、総合的な環境問題なのです。

ただ、だからこそ、私たちにできることもたくさんあります。外来植物の早期発見と速やかな防除、侵入予防のための水際対策の強化、市民参加による継続的な取り組み、環境教育の推進。こうした地道な努力の積み重ねが、外来植物の脅威から日本の自然を守ることにつながるはずです。

大切なのは、一人一人が当事者意識を持つこと。「外来植物は誰かが何とかしてくれる問題」ではなく、「自分にできることから始める問題」として捉えることが肝要だと、私は考えます。

私自身、ボタニカルアーティストとして、植物の美しさを伝える活動を続けてきました。でも、その美しさを脅かす外来植物の問題から目を背けるわけにはいきません。絵を通して在来の植物の大切さを伝えると同時に、外来植物問題についても、これからも発信し続けていきたいと思います。

日本の豊かな自然は、先人たちから受け継いだかけがえのない財産です。その自然を、次の世代に引き継いでいくために。今、私たちに何ができるのか。改めて問い直していく必要がありますね。

外来植物の脅威に立ち向かうことは、日本の自然を守り、未来につなぐための、私たち一人一人の責任なのかもしれません。